投資には常に一定レベルのリスクが伴うものであり、リターンの高さには常に高い不確実性が伴うことを投資家は十分に認識しています。リスクとリターンの関係性を1つの概念にまとめたものを、「リスクプレミアム」と呼びます。
リスクプレミアムを一言でまとめれば、より高いレベルのリスクと引き換えに、投資家が見返りとして上乗せして期待する利益のことです。投資家が、低リスク資産と比較した場合の高リスク資産への投資の意義としてプレミアム(上乗せされる利益)を求めるに当たり、定量的尺度としての役割を担っています。投資家がリターンを求める際のリスクとリワードのトレードオフを乗り越えるに当たり、リスクプレミアムの理解は情報に基づく投資判断において大切になります。
リスクプレミアムの概念は、個別の金融商品の視点から見ると理解しやすいものとなります。ここでは、債権を取り上げて説明します。投資家が2種類の債権を比較しているケースを考えてみます。1つは安定した政府機関発行でデフォルトリスクが低い債権であり、もう1つは一般企業発行で高リスク特性を持った債権とします。
このケースでは、リスクの低い政府機関発行の債権の金利・利回りは、一般企業のものと比較すると低金利・低利回りとなります。この2つの債権における利回りの違いは、リスクプレミアムを表しています。投資家は、リスクの高い企業の債権を保有する際、必然的に高いリターンを期待します。これは不確実性および潜在的なデフォルトリスクを穴埋めするものとなります。
金融市場におけるリスクプレミアムの決定には、複数の要因が影響しています。以下に想定される要因を挙げます:
暗号資産の登場により、リスクプレミアムの概念に新たな視点が加わりました。そのボラティリティの高さおよび市場における歴史の相対的な浅さを特徴とするBitcoin(BTC)やEther(ETH)などのデジタル資産の登場により、投資家は独自の課題に直面することとなりました。
暗号資産市場の文脈におけるリスクプレミアムは、規制がもたらす不確実性、技術的リスク、極端な価格変動の可能性などの要因により、大幅に上昇する場合があります。暗号資産の投資家は通常、黎明期にあり急速な発展を遂げるこの資産クラスに伴う固有リスクを埋め合わせるために、より高いリターンを求めます。
金融における基本的な概念であるリスクプレミアムは、投資の意思決定を行う際に大切な役割を担っています。リスクプレミアムは、投資家がリスクと引き換えに期待・要求する上乗せされた利益であり、リスクとリワードのトレードオフを評価する際の指標となります。金融市場が引き続き成長を遂げる中、リスクプレミアムを理解し、投資戦略にその分析を取り入れることの重要性は、ボラティリティおよび不確実性が高い傾向にある暗号資産市場において特に増しています。
経済が成長から低成長または景気後退へと急速に移行する状況。
ソフトランディングとは、経済が急成長した後、景気後退を回避する形で徐々に減速する状況を指します。