分散型自律組織(DAO)の説明
目次
はじめに
DAOとは何か、その仕組みとは?
DAOとプリンシパル=エージェント問題
DAOの事例
イーサリアムと“The DAO”
DAOの課題とは?
まとめ
分散型自律組織(DAO)の説明
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分散型自律組織(DAO)の説明

分散型自律組織(DAO)の説明

中級者
Published Apr 6, 2020Updated Nov 18, 2021
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はじめに

ブロックチェーンは、金融システムを根本的に変えようとしています。しかし、信頼性不変性などの特性は、金銭的な用途だけに役立つわけではありません。
この技術によって破損する可能性が高い1つの候補はガバナンスです。ブロックチェーンは、中央組織による管理を必要とせず、自律的に運営が行える新しいタイプの組織を実現します。この記事では、これらの組織がどのようなものか紹介します。 


DAOとは何か、その仕組みとは?

DAOとは、Decentralized Autonomous Organizationの略です。要するに、DAOとは、コンピュータコードやプログラムによって管理される組織のことです。そのため、中央的な管理を必要とせず、自律的に機能する能力を持っています。

スマートコントラクトを使用することで、DAOは外部情報を操作し、それらに基づいてコマンドを実行することができます(人間の介入なしで)。DAOは通常、ある種のトークンメカニズムによってインセンティブを与えられた利害関係者のコミュニティによって運営されています。 
DAOのルールとトランザクションの記録は、ブロックチェーン上に透過的に保存されます。ルールは一般的に利害関係者の投票によって決定されます。DAO内で、提案を通じ過半数が投票された場合(またはネットワークのコンセンサスルールに設定された他のルールを満たす場合)その提案は実施されます。   
DAOは、株式会社や国民国家と同様に動作しますが、より分散的に機能します。従来、組織は階層構造と官僚制の多くの層で機能しますが、DAOには階層などはありません。その代り、通常ゲーム理論を使用し、組織の利益とメンバーの利益を整合させるために、経済メカニズムを使用します。

DAOメンバーに正式な契約はありません。むしろ共通の目標と、コンセンサスルールに規制されたネットワークインセンティブによって接続されています。これらのルールは、完全に透明で、組織を管理するオープンソースのソフトウェアに記載されています。DAOは、国境を越え運営されているため、異なる法的管轄権の対象となる可能性があります。

またその名の通り、DAOは分散型自律組織です。分散化されている1つのエンティティは、意思決定を実行するための権限は持ち合わせていません。また、自身で機能することができるため自律的です。

一旦DAOが配備されると、単一のパーティーによって制御されることなく、参加者のコミュニティによって管理されます。プロトコルで定義されたガバナンスルールが優れた設計をした場合、ネットワークにとって最も有益な結果にアクターを導きます。

要するに、DAOはオープンコラボレーションのためのオペレーティングシステムを提供します。このオペレーティングシステムは、個人と組織が相互に認識したり、信頼関係がなくても共同作業を行うことができます。


DAOとプリンシパル=エージェント問題

DAOは、プリンシパル=エージェント問題と呼ばれる経済学問題に取り組んでいます。個人またはエンティティ(“エージェント”)が他の個人またはエンティティ(“プリンシパル”)に代わって意思決定を行い、行動を実行する権限を持っている場合に発生します。エージェントが自己利益のために行動が動機付けられた場合、プリンシパルの利益を無効にすることができます。

このような状況では、エージェントがプリンシパルに代わってリスクを引き受けることができます。問題を深刻にしているのは、プリンシパルとエージェントの間に、情報の非対称性が存在する可能性があることです。プリンシパルは、利用されていることを認識しておらず、エージェントが利益のために行動していた場合、確認する方法を持っていません。

この問題の一般的な例は、市民代表を選出された役人、投資家代表を務めるブローカー、株主代表の経営者などが挙げられます。

ブロックチェーンによって、透明性を高めることで、DAOの背後にある優れた設計のインセンティブモデルは、問題の一部を排除することが可能です。組織内のインセンティブは調整され、情報の非対称性はほとんどなくなる可能性があります(あるいは全く)。すべてのトランザクションはブロックチェーン上に記録されるため、DAOの操作は完全に透過的であり、理論的にはトランザクションの破損を防ぐことができます。


DAOの事例

非常に原始的ではありますが、ビットコインネットワークはDAOの最初の事例として認識される可能性があります。分散化された方法で運営され、参加者間の階層がないコンセンサスプロトコルによって調整されます。 
ビットコインプロトコルは組織のルールを定義し、通貨としてネットワークの安全性を確保するために、インセンティブを提供します。これにより様々な参加者が協力し、分散型自律組織としてビットコインを運営し続けることが保証されています。

ビットコインの場合、共通の目的は中央機関がシステム管理することなく、価値を保存して転送することです。また、DAOは他にどのように使用することができるのでしょうか?

より複雑なDAOは、トークンガバナンス、分散型ベンチャーファンド、ソーシャルメディアプラットフォームなど、様々な用途に導入できます。DAOは、IoT(Internet of Things)に接続されたデバイスの運用を調整することもできます。

その上で、これらのイノベーションは分散型自律企業(DAC)と呼ばれるDAOのサブセットを導入しました。DACは、ライドシェアサービスなど従来の企業と同様なサービスを提供することができます。違いは従来のビジネスに見られるコーポレートガバナンス構造がなくても機能することです。

例えば、DACの一部としてライドシェアサービスの提供をする自動車は、自律的に動作し人間や他のデバイスと取引を行うことができます。ブロックチェーンオラクルを使用することで、スマートコントラクトを起動したり整備士のところへ行くなど、タスクを自分で実行することもできます。


イーサリアムと“The DAO”

DAOの初期例の1つは、その名の通り“The DAO”でした。これは、イーサリアムブロックチェーン上で動作する複雑なスマートコントラクトで構成されており、自律的なベンチャーファンドとして機能することになっていました。
DAOトークンは、ICO(Initial Coin Offering)によって販売され、この分散型ファンドの所有権と議決権を提供しました。しかし、ローンチ後まもなく仮想通貨の歴史上最大規模ハッキングで、資金の約3分の1が流出してしまいました。
その結果、イーサリアムはハードフォークを経て2つのチェーンに分散しました。1つはハッキングが無かったものとして、不正な取引が事実上取り消されています。このチェーンが現在、イーサリアムブロックチェーンと呼ばれるものです。もう1つのチェーンは、“コード・イズ・ロー”の原則を守りながら不正取引を放置し、不変性を維持していました。現在、このブロックチェーンは、イーサリアムクラシックと呼ばれています。



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DAOの課題とは?

DAOを取り巻く規制環境は不確実です。様々な管轄区域がこれらの新しいタイプの組織にどのように規制の枠組みを構築していくかは、まだ見通せません。しかし、不確実な規制環境が続く状況は、DAO導入の大きな障壁となる可能性があります。


協調攻撃

DAOの望ましい特性(分散化、不変性、信頼性)は、本質的に重要な性能とセキュリティの欠点を持っています。DAOとして誕生する可能性が高い組織の中には、間違いなくエキサイティングなものもありますが、従来の組織にはない多くのリスクを伴います。


中央集権型のポイント

分散化は状態ではなく、各レベルが異なるタイプのユースケースに適している範囲であることに、議論の余地があります。場合によっては、完全な自律性や分散化が不可能であったり、意味をなさない場合もあります。

DAOでは、これまで以上に幅広い参加者による共同作業が可能になるかもしれませんが、プロトコルに設定されたガバナンスルールは、常に中央集権型のポイントになります。中央集権型の組織は、効率的に運営できますが、オープンな参加メリットを放棄できるという議論が成り立ちます。


まとめ

DAOは、組織が従来の機関への依存からの脱却を可能にします。参加者を調整する中央機関の代わりにガバナンスルールが自動化され、ネットワークにとって有益な成果に向けてアクターを導きます。

ビットコインネットワークは単純化されたDAOと考えられ、現在他の実装はほとんどありません。優れたDAOを設計するための鍵は、様々な参加者の調整問題を解決する効率的なコンセンサスルールのセットを構築することです。DAOの実装が直面している真の課題は、技術的なものではなく、社会的なものかもしれません。
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